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2020年1月30日 08:35

55. 検査でみつからない げっぷ

 げっぷ
漢方では噫気(あいき)、乾噫(かんあい)と言います。

 

時々口から出るくらいであれば困ることはありませんが、頻繁となると生活に支障が出てきます。

西洋医学では、たいてい胃薬が処方されます。胃カメラを勧められることもあるでしょう。その対応で解決される場合は、問題になりません。でも解決しない場合は、東洋医学を検討してみるとよいでしょう。

 

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10年ほど前から、みぞおちに痞え(つかえ)を感じてきた50歳代女性です。

 

消化器科で胃内視鏡検査を受けたこともありましたが、「原因は見あたらない」と言われてきました。

薬は、胃酸を抑えるものや整腸剤が処方されましたが、効果を実感できたことはなさそうです。

体調が悪くなると、げっぷもたくさん出ます。それにストレスが重なると、下痢、動悸、のぼせも生じ、心も不安いっぱいで大変です。

 

このような時、漢方薬には半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)があります。

 

これは、慢性的にお腹に痞えのある方に最適です。腸がゴロゴロ鳴るよう方に投薬することもあります。

 

このお薬は、「半夏(はんげ)、黄芩(おうごん)、人参(にんじん)、大棗(たいそう)、乾姜(かんきょう)、甘草(かんぞう)、黄連(おうれん)」という生薬で構成され、胃のあたりの熱を冷ましもし、温めもしというお薬です。

西洋薬のように、ズバッと電光石火、切り込むタイプのお薬ではなく、デコボコおにぎりを上手に丸く整えるようなお薬です。  

胃腸は自律神経の影響を最初に受けやすい臓器なので、ここを治めることが体全体への影響を鎮めることになります。

 

それに煎じ薬では、生薬の量を調整をすることができるので、幅広く治療できます。その応用がしやすい点も、このお薬の特徴の一つです。

 

例えば、

げっぷがひどくなるようなら、

 

 「乾姜を減らし、代わりに乾生姜(かんしょうきょう)を足して...とすると、生姜瀉心湯(しょうきょうしゃしんとう)というお薬に変わります。そうすると、しつこいげっぷを治めやすくなります。

 

また不安から自律神経失調症を呈してしまった場合なら、

「甘草の量だけを増やすと...甘草瀉心湯(かんぞうしゃしんとう)というお薬に変わります。それで、心の不安や自律神経の乱れを落ち着かせられます。

 

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さて前述の女性ですが、

 

半夏瀉心湯を内服してから6週後にはみぞおちの痞えが軽減し、不満は解消されたようです。

ただし、その後たまりにたまった悩みが吹き出してしまい、その都度対応を迫られました。たしかに西洋医学では、診療を断られてしまうこともありましょう

 

そこで、噫気をうったえた時は、乾生姜4gへの増量と、乾姜1gへの減量を行い、生姜瀉心湯として処方しました。

またお腹の膨満感や感情の起伏による動悸をうったえた際は、甘草を3gに増量し、甘草瀉心湯として処方しました。

 

このように、ほんのわずかな調整だけで変幻自在、満足度の高い治療を提供できるのが、東洋医学の醍醐味なのです。

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